黄斑円孔

黄斑円孔

黄斑円孔

黄斑円孔は、網膜の中心部である「黄斑」に小さな穴が開いてしまう病気です。 中高年(特に女性)に多く、近視の方にも発症しやすい傾向があります。発症すると、視力が大きく低下するほか、物の中心がゆがむ、真ん中が欠けて見える(中心暗点)などの症状が現れます。

1. 症状について

黄斑円孔は、網膜のちょうど中心(黄斑部)に穴が開くため、「見たい場所のど真ん中」に強い症状が出ます。初期は「少しゆがむかな?」という程度ですが、穴が開いてしまうと視力が急激に低下します。

  • 変視症(ゆがみ): 格子状のものが波打って見えたり、直線が曲がって見えたりします。
  • 中心暗点(真ん中が欠ける): 見ようとする場所が黒ずんで見えたり、一部分がぽっかり抜けて見えたりします。
  • 視力低下: 視界の真ん中が遮られるため、細かい文字を読んだり、人の顔を判別したりすることが難しくなります。

早期発見のヒント:片目チェック 両目で見ていると、もう一方の目が視界を補ってしまうため、かなり進行するまで気づかないことがあります。時々、「片目ずつ」交互に隠して、カレンダーや窓枠がゆがんでいないかチェックすることが重要です。

2. 診断と進行度

黄斑円孔は、加齢に伴い眼内の硝子体が網膜から離れる際、黄斑部を強く引っ張ってしまうことで起こります。当院では広範囲かつ高精細な撮影が可能なOCT(光干渉断層計)を導入しており、網膜の微細な変化を捉えることで、精密な診断を行っております。

  • ステージ1(早期): 硝子体が網膜を牽引し、網膜の一部に穴が開き始めている状態。
  • ステージ2〜3: 網膜の全層に穴が貫通した状態(全層黄斑円孔)。
  • ステージ4: 硝子体との癒着が完全に離れ、穴が開いたまま残った状態。

3. 治療について(硝子体手術)

黄斑円孔の治療は、手術(硝子体手術)が基本です。初期の小さなものであれば自然に閉じることも稀にありますが、完全に穴が開いた場合は、原則として早急な手術が望ましいとされています。

手術の目的と限界

  • 円孔拡大と悪化の防止: 手術の最大の目的は、穴(円孔)を閉じることでこれ以上の拡大を防ぎ、視機能のさらなる悪化を食い止めることにあります。
  • ゆがみ(変視)の残存: 手術により穴が綺麗に閉じたとしても、網膜の形態変化や発症からの経過時間によっては、ゆがみの症状が後遺症として残る可能性が高いのが実情です。
  • 早期閉鎖の重要性: 穴が開いている期間が長いほど網膜へのダメージが蓄積し、術後の視力回復が限定的になります。少しでも良好な視機能を維持するためには、早期の閉鎖を目指すことが重要です。

硝子体手術

  • 網膜のつっぱりを解消: 原因となっている硝子体を取り除いた後、網膜の表面にある「内境界膜」という非常に薄くて硬い膜を除去します。これにより網膜の柔軟性を取り戻し、穴が閉じやすい状態を作ります。
  • 医療用ガスの注入: 仕上げに、眼内へ医療用のガス(または空気)を充填して手術を終えます。
  • 術後の「うつぶせ姿勢」: 術後はしばらくの間、「うつぶせの姿勢」で過ごしていただきます。ガスの浮力を利用して内側から黄斑部を押し当てることで、穴の閉鎖を促します。術後の姿勢を維持することも、治療の大切なプロセスです。
  • 白内障手術との同時施行: 硝子体手術を行うと白内障が進行しやすいため、多くの場合、同時に白内障手術を行い眼内レンズを挿入します。

当院の診療体制と連携について

  1. 豊富な執刀経験に基づいた診断
    黄斑円孔は、すでに穴が開いている状態の判断は比較的容易です。重要なのは小さな穴を見逃さないこと、そして「円孔になりそうな前兆」を的確に捉えることです。 完全に穴があく前の状態においても、手術によって早期の閉鎖を得る方が、最終的な視力の予後(見え方の回復)が良くなります。数多くの執刀を経験してきた専門医として、OCT画像から網膜の細かな変化を読み解き、最適な手術時期を検討いたします。
  2. 基幹病院との強力な執刀連携
    精密検査の結果、手術が必要と判断した際は、副院長が現在も執刀を担当している「眼科三宅病院」をはじめ、高度な手術設備を備えた施設へスムーズにご紹介いたします。
  3. 安心の術後フォローアップ
    手術後の大切な経過観察は、再び当院にて継続いただけます。黄斑円孔がしっかり閉じているかの確認はもちろん、「もう片方の目(対側眼)」への配慮も欠かしません。 黄斑円孔はもう一方の目にも発症する確率が比較的高いため、術後眼だけでなく、両眼の視機能を末長くサポートしてまいります。
医師からのメッセージ
芳賀 史憲

黄斑円孔の治療は、早期の手術が最終的な視機能を左右します。 多数の執刀経験に基づき、OCT画像から迅速に手術の必要性を見極めます。
視界に少しでも「ゆがみ」や「欠け」を感じたら、迷わずご相談ください。大切な視機能を守るための最善のタイミングを、一緒に考えていきましょう。