加齢黄斑変性(AMD)

加齢黄斑変性(AMD)

加齢黄斑変性(AMD)

加齢黄斑変性は失明の原因にもなる病気ですが、近年、OCT(光干渉断層計)という検査機械の進歩によって、網膜の状態を精密に捉えられるようになりました。

この進歩に伴い、病気の捉え方や治療法もここ数年で大きく変化しています。最適な治療を提供するためには、常に最新の知識をアップデートし続けることが不可欠な分野となっています。

1. 加齢黄斑変性(AMD)の診断と治療

年齢を重ねるとともに網膜色素上皮の下に老廃物が蓄積し、それにより直接あるいは間接的に黄斑部が障害される病気です。大きく分けて「新生血管型」と「萎縮型」の2つのタイプがあります。

新生血管型

網膜に生じた異常な血管(黄斑新生血管:MNV)から、血液や水分が漏れ出すことで、網膜の出血やむくみ(浮腫)が生じるタイプです。

  • 治療: 原因物質であるVEGFを抑える「抗VEGF薬」の硝子体内注射、またはPDT(光線力学療法)との併用療法を行います。
  • 特徴: 進行が速く、一度損なわれた視機能は元通りに戻りにくいため、早期の診断と治療が極めて重要です。

萎縮型

黄斑部の網膜組織が徐々に衰え、薄くなっていく(地図状萎縮)タイプです。

  • 治療: 症状の進行は緩やかですが、現時点では確立された有効な治療法はありません。
  • 特徴: 定期的な経過観察を行い、新生血管型へ移行していないかを確認することが大切です。

2. 主な症状

初期は自覚症状が少ないこともありますが、進行すると以下のような変化が現れます。

  • 歪視(わいし): 物がゆがんで見える。
  • 視力低下: 全体的に見えにくくなる。
  • 中心暗点: 中心部が暗く見える、または欠ける。
  • 色覚異常: 色が分からなくなってくる。

診断と精密検査

最適な治療計画を立てるため、最新のガイドラインに基づいた精密な解析を行います。

  • OCT(光干渉断層計): 網膜の断面をスキャンし、MNVの有無や、パキコロイド(脈絡膜の厚み)に関連した病態、色素上皮の異常などを解析します。
  • 病型分類: MNVが発生している部位に基づき、1型・2型・3型などの詳細な診断を行います。

加齢黄斑変性の予防とケア

片方の目が加齢黄斑変性を発症すると、5年以内にもう片方の目も発症する確率が約40%(AREDS研究より)というデータがあります。そのため、発症していない方の目を守るための「予防と」が極めて重要になります。

1. 禁煙:発症リスクを大幅に下げる

喫煙は加齢黄斑変性の最大の危険因子です。国内の研究(久山町研究)では、喫煙習慣により重症なタイプ(後期AMD)の発症が4倍に増加すると報告されています。禁煙は、今日からできる最も効果的な予防法です。

2. 食生活の改善:魚と緑黄色野菜を積極的に

網膜の酸化ダメージを抑える食事習慣が、進行リスクを減らすことが分かっています。

  • 魚を食べる: 網膜に良いとされる「オメガ3脂肪酸」を豊富に含みます。
  • 緑黄色野菜と果物: 抗酸化作用のあるビタミンCやルテインが豊富です。
  • 油の質に注意: 肉類に多い飽和脂肪酸を控え、バランスの良い和食中心の生活が推奨されます。

3. サプリメント:エビデンスに基づいた栄養補給

大規模な臨床研究(AREDS)において、特定の成分を摂取することで進行リスクが減少することが証明されています。

  • 推奨される方: 中等度以上のドルーゼン(老廃物)がある方や、すでに片目が発症している方には強く勧められます。
  • 成分: ビタミンC・E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンなど、網膜を保護する成分がバランスよく配合されたものを選びましょう。

新生血管型加齢黄斑変性の診療体系

当院では、日本網膜硝子体学会による最新の指針に沿った診療を行っています。

引用:日本網膜硝子体学会 新生血管型加齢黄斑変性診療ガイドライン

医師からのメッセージ
芳賀 史憲

「物がゆがんで見える」のは、網膜が発している重要なサインです。
私は名古屋大学病院や眼科三宅病院で、長年「黄斑疾患の専門外来」を担当し、数多くの患者さんの治療に携わってまいりました。その豊富な治療経験を活かし、最新のガイドラインに基づいた最適な薬剤選択を行います。
大切な目を守るために、少しでも違和感があれば、どうぞお早めにご相談ください。