硝子体黄斑牽引症候群(VMT)

硝子体黄斑牽引症候群(VMT)

硝子体黄斑牽引症候群(VMT)

加齢に伴う硝子体の変化により、網膜の中心部(黄斑)が強く牽引され、構造が乱れる病気です。 放置すると網膜に穴が開く「黄斑円孔」へ至るリスクがあり、経過観察中に約10〜30%が移行するとの報告もあります(Ophthalmology 2013)。 視力低下やゆがみを自覚した場合は、OCT検査による精密な進行状況の評価が欠かせません。

1. 症状:微妙な「ゆがみ」

  • ゆがみ(変視症): 直線が波打って見えます。
  • 視力低下: 全体的に霧がかかったようにぼやけます。 初期は両目で見ていると気づきにくいため、アムスラーチャート(格子状の表)を用いた片目ずつのチェックが有効です。

セルフチェック: 片目を隠して、格子の線(アムスラーチャート)を見た時に、線がゆがんで見えたら受診の目安です。

2. 診断と経過観察

網膜の断面をみるOCT検査が不可欠です。 牽引の強さや、網膜の中に隙間ができる「網膜分離」の状態を精密に評価し、手術が必要なタイミングを見極めます。

3. 治療方針

根本的な治療は、網膜を引っ張っている原因(硝子体)を取り除く硝子体手術です。

  • 手術のタイミング: 一度壊れた網膜の構造は、手術後も完全に元通りにはならないため、症状が進行しすぎる前に処置を行うことが重要です。
  • 手術連携: 当院では手術を行っておりませんが、OCT検査で手術の適応(黄斑円孔への進行兆候など)と判断した場合には、速やかに「眼科三宅病院」などの高度手術施設へご紹介し、最適なタイミングで治療を受けられるよう連携しております。
医師からのメッセージ
芳賀 史憲

硝子体黄斑牽引症候群は、引っ張られ方の程度によって病態はさまざまです。
当院では、精密検査に基づき、慎重な経過観察でよいか、あるいは将来の視力を守るために手術施設へご紹介すべきかを的確に判断します。「ゆがみが強くなった」と少しでも異変を感じたら、放置せず早めに受診してください。